自分の”価値”に気づいていない人へ。あなたの優しさは、ちゃんと誰かを変えている

先日、20年来の友達から久しぶりに連絡があり、会うことになりました。

彼女とは、私が半導体通訳としてアメリカと日本を行き来しながら働いていた頃に出会いました。

「あなたと同じ年齢でカナダに留学していた子がいるよ」と会社の人に紹介され、共通点も多く、すぐに打ち解けました。

その頃、彼女は東北の支店で働いていました。

それから20年。

私が「次はこんなことにチャレンジしてみようと思ってるんだ」と話すたびに、彼女はいつもにこにこしながら

「いいね」

「みほはいつもステップアップしようとしていてすごいね」

と言ってくれました。

それが、どれだけ私の背中を押してくれていたか…。

私はよく「普通の人と違う道を選んでないかな?」「人と違うことをする自分は変じゃないかな?」と、不安になることがあります。

でも彼女の「いいね」「すごいね」は、その不安をやわらげてくれる魔法の言葉のようでした。

今回久しぶりに会い、いろいろなことを話しました。

最近タイ語を学び始めたこと。

数年かけてコツコツ続けている韓国語の勉強のこと。

結婚・離婚を経て、今のパートナーとはお互いに努力して、穏やかで良好な関係が築けていること。

独立して10年続けてこられていること——。

そんな話をすると、彼女は変わらず

「すごいね」

「みほってほんとすごい」

と、昔と同じように言ってくれました。

その言葉を聞きながら、

「今はまだ積み上げている途中だけど、きっとこれからもできるな」

と安心した気持ちになったんです。

彼女と話していると、自然体でいられて、前向きになれる。

その価値観が、彼女の魅力なんだと改めて感じました。

そんな彼女がふと話したのが、今している家庭教師の話でした。

中学2年生の男の子に英語を教えているそうで、

「去年より成績が上がったんだよね」

と、さらっと話してくれました。

でも私は、ふと引っかかるものを感じて——

「何もしないで成績が上がるわけじゃないよ?」と伝えました。

「英語が面倒、サボりたい、やりたくない。

そこから“英語が楽しくなってきた、頑張ってみよう”に変わるって、簡単なことじゃないよ」

「その“真ん中”をやってあげたの、〇〇ちゃんじゃない?」

彼女は少し驚いたように、「そうかな……」と。

「英語以外のこと、話してみたことある?」と聞いてみると、

「彼、野球部で頑張ってるから、その話も聞いてあげてるよ」とのこと。

「それだ!」

と思いました。

彼女が英語を教える以上に、

「君が頑張ってることに私は興味があるよ」

「あなたはすごいね」

と、存在そのものを見てあげていたからこそ、

その男の子は

「この人のために頑張りたい」

「英語もやってみようかな」

と思えるようになり、楽しくなった。

成績が上がったのは、彼女の関わりのおかげなんだと、私は確信をもって伝えました。

すると彼女は、目にうっすら涙を浮かべながら

「嬉しい……そういえば、彼から誕生日おめでとうってLINEが来てたの」

と教えてくれました。

さらに掘り下げて、「なんでそれができるようになったのかな?」と尋ねてみると——

「私はね、やりたいことがわからなくなるたびに、お母さんがいつも話を聞いてくれてたんだよね」

なるほど、と私は思いました。

「じゃあそれ、今〇〇ちゃんがその子にやってあげてることだね」

私たちは、誰かからもらった優しさを、無意識に他の誰かに返していることがあります。

逆に、誰かからされた嫌なことを、無意識に人にしてしまう人もいます。

でも彼女は、「もらって嬉しかったこと」を、ちゃんと人にしてあげられる人でした。

だから私はいつも、彼女と話していると応援されているような気持ちになるんだと、腑に落ちたのです。

今回は、私が彼女の“価値”を言葉にして伝えてあげることができた。

少しでも、彼女に

「自分のしていることって、意味があるんだな」

って感じてもらえたなら、ちょっとは恩返しできたかなと思います。

そして、彼女がその価値に気づいたうえで、またあの男の子と関わっていけたら

今まで以上に信頼関係が深まっていくんじゃないかなと感じました。

きっとその先には、もっとたくさんの“にこにこ”が広がっていく。

そんな未来を想像すると、私まであたたかい気持ちになります。

あなたが誰かにしている、何気ないひとことや関わり方も、

もしかしたらその人の「がんばる理由」になっているかもしれません。








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